カウブレイドをメインから使ってて、むしろ石鍛冶もジェイスも5枚持ってる身からすると手放しには喜べないけど、まぁ裁定としてはアリなんじゃあないかとは思う。
 現環境で石鍛冶もジェイスも入ってないデッキて赤単とヴァラクートくらいしかなかったと思うしね。
 だが。
 今回私が思った問題はそこではない。
 先日のニッセン予選に出た時に、高校生くらいの少年と対戦する機会があったのだが、その時彼はこのようなことを言っていた。
「今日のために、バイトしてジェイスと石鍛冶と装備品各種買ったんですよ!」
 その日は6/19だった。そう、ちょうど禁止発表の前日である。
 これは、あまりにも彼がかわいそうではないだろうか。
 もし彼がパーツがゼロから買い始めたとすると、合計金額は5万前後になると思う。
 高校生で5万だ。
 私のような30間近のオッサンだって5万は結構な買い物になる。それを、高校生が、ですよ?
 部活などに入ってなかったとしても、学生の身では1日にそう長い時間バイトなどできないだろうし、毎日というわけにも行くまい。
 仮に自給千円の学生としてはそこそこいいバイトだったとしても、50時間だ。
 3ヶ月経てばどの道スタン落ちするにしたって、それまでにトレードするなりなんなりと、スタン落ちに関してはまだ時間があるし、覚悟するだけの期間もある。
 これが、いきなりの禁止である。
 もし私が彼だったらば、間違いなく心が折れる。もう2度とMTGなんかやるもんかと絶叫すると思う。
 確かに、環境的にはやや不健全であったかもしれない。カウブレイドは強すぎであったかもしれない。
 それでも。
 それでもこれは、あってはならないことではないかと思う。

 努力が水泡に帰すなどあってはならない!

 何より、MTGを辞めるに足る動機になりえるというのは危険なことだと思う。
 仮にカウブレイドが禁止にならなかったとして、カウブレイドに対戦して負けてもMTGやめるとはならないだろう。アレらは単に強いだけで、工夫次第でいくらでも対策が効くからだ。
 私のように下の環境もやってる人間ならば大して問題はないし、ハタチ超えてるような人ならば5万はまぁ手痛い出費だろうが許容できなくもないだろう。
 けれど、あの少年のことを思うと……
 不憫でならない。
 やはりこの禁止はあってはならなかったことではないかと思う。
 あの少年が、この後も楽しくMTGをプレイしてくれることを願ってやまない。

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